出品作品一覧

賞選考

大賞

準大賞

優秀賞

奨励賞

主催者特別賞

審査員所感

立島 惠(佐藤美術館 学芸部長)

今回も完成度の高い作品がずらりと並んだ。推薦作は例年通り20点。しかし1点規定サイズをオーバーしていたため選外となり、19点が審査対象となった。本審査は審査員5名の持ち点を合算し、その点数が順位となる。同点若しくは評価が拮抗した場合は議論の積上げにより判断している。しかし今回はその必要なく順当に決定した。

大賞を獲得した森友紀恵「葉の音」は、鳥が茂みの間隙を縫って飛ぶ様を繊細なタッチと色遣いを以て意匠的に表現したところが魅力。主題を画面いっぱいに押し込むかの如く描いた準大賞、岡野智史の「Hungry Predators」はリアルな筆致と相まった迫力に圧倒された。私が高く評価したのは優秀賞の古山結と矢野佑貴。そして奨励賞の澤﨑華子だ。紙面の都合上詳しく書くことは叶わないが三者三様の試みに新しさを感じた。

また惜しくも受賞を逃した古谷葵の、抽象と具象を行き来する絶妙な画面構成と生々しい筆跡に興味をそそられた。

新型コロナウイルスのパンデミックと同時期にスタートした本賞も早3回目となり、密を避けながらの審査もようやく慣れてきた感じがする。残念なのは今まで授賞式が出来ていないこと。今回は是非とも開催され、出品者と会えることを心より願う。

大矢 英雄(洋画家、広島市立大学名誉教授)

過去に比べて今回の審査は呆気ないほどスムーズだった。行きつ戻りつ各作品を周って見比べることも、得点集計後の審査員同士の疑義申し立ても少なかった。それが何故なのかは分からないが、例年よりおとなしい雰囲気の作品が多かったのは確かだ。

会場に入って直ぐに目に付いた作品が大賞と優秀賞に選ばれた。私は森友紀恵さんと古山結さんのどちらを大賞として推すか最後まで迷った。どちらも素晴らしい作品である。森作品は隙のない高い完成度を持っているし、古山作品は水性絵具の魅力を静かに湛えて美しい。この美しさを自分の作品でも表現出来たらと、羨ましく感じたものだ。が、自律した作品としては弱いように思え、大作の出来も容易に想像できる森さんに軍配を挙げた。作画が俄然難しくなるが、森さんはもう少し明暗のコントラストをつけるように望みたい。準大賞の岡野作品は今の時代性を感じるが、日本画材料に合った表現なのか疑問を持つ。矢野さんと山田さんも力作だったが、矢野さんには絵具の重層を考慮した描写の研究を勧めたいし、山田作品は離れると色彩が濁って見えるのがなんとも残念だった。

AI技術が進化して、絵画表現がこれまでにないほど多様になって来ている。今や素描の修練や古典に学ぶことは無意味になっているかのようだ。しかし本当にそれで良いのだろうか。その問いかけを持ち続けることを若い人にも望みたいと思う。

倉島 重友(日本画家、日本美術院同人、広島市立大学名誉教授)

今回の審査では、全体的に繊細で丁寧な仕事に感心しましたが、力強い迫力のある作品が、やや少なかったと感じました。さして大きくない画面に迫力をと言っても難しいのですが、多少未完であっても若い力で表現して欲しいと思います。

[大賞]森友紀恵さん:揺れる葉と小鳥の美しい構成は、丁寧な仕事の積み重ねで、淡い画面でありながら芯の強さを感じます。

[準大賞]岡野智史さん:いわゆる美しい綺麗な作品ではないのですが、作者の強い想いやそこに食い下がる熱意が伝わって来ます。

[優秀賞]古山結さん:仕事はとても丁寧で好感が持てます。色面の表現が美しいです。

[優秀賞]矢野佑貴さん:溢れんばかりの植物を根気良く描き込んだ労作。大きな温室に入って見上げた時の感動が伝わって来ます。

若い才能にエールを送る「絵画の筑波賞」展の更なる発展を祈ります。

玉川 信一(洋画家、二紀会理事、筑波大学名誉教授)

受賞作品は、伝統的な花鳥画風に鳥と木の枝を装飾的に美しい色彩でまとめたもの、動物の頭骨と植物を死と生命の象徴としてとらえアレゴリー風に表現したもの、震えるような色の線描でドローイング風に人間像を描きこんだもの、それぞれに魅力があり、審査員の支持も割れました。結局、一推しの作品に加えて次に支持するとしたらどれをという部分で票が集まりやすい順に結果が決まったような気がします。そのことに納得しながらも何か消化不良のような後味でした。

コロナ禍、戦争、地震、気が滅入るようなことが続き、日常的な不安感が今までとは違う明確な姿で我々を取り巻いています。そのことが日常生活の中でボディブローのように効いてきて表現意欲が徐々に削がれていくような気もしています。そして、このような状況だからこそ制作するときの絵描きの立ち位置の大切さを改めて意識した日でもありました。

藤田 志朗(日本画家、創画会常務理事、筑波大学名誉教授)

三度目となった賞選考にあたり、各大学の四研究室から推薦された19点の作品を拝見しましたが、今年は特に各研究室から輩出あるいは在籍している若き作家達の画面に差異が無いように思いました。

大賞に選ばれた「葉の音」は色彩の美しさと画面構成の心地良さに魅力を感じ秀作だと思いました。凖大賞の「Hungry Predators」は小作品ではあるものの作者の描きたいという強い意志が感じられ、好感が持てました。優秀賞の「大温室」と「I want to know more」は対象的な表現方法ですが、どちらの作品も挑戦的で若さ溢れる作品でこれからの展開が楽しみに思えました。

油画、洋画、日本画にこだわる必要のない今ではあるのかも知れませんが、大学という場でのアカデミックな教育やカリキュラムの必要性を少し感じてしまいました。

依然と展覧会の開催が企画しづらい中、第3回展を迎えるにあたり、主催者に感謝するとともに若い人達の希望となる事を祈念いたします。

会期・会場

「絵画の筑波賞」展 2022

つくば展

会  期:2022年 5月15日(日)ー 2022年 5月29日(日)
     ※最終日5月29日(日)は午後3時に閉場いたします。
会  場:スタジオ’S
お問合せ:029(860)5151〈関彰商事(株)総務部〉※平日午前9時から午後5時まで。
開場時間は午前11時から午後6時。
状況を鑑み、掲載企画を中止・延期とする場合がございます。
所 在 地:〒305-0051 茨城県つくば市二の宮 1-23-6 関彰商事(株)つくば本社敷地内
U R L:https://sekishostudios.jp/

池袋展

会  期:2022 年6月8日(水)ー 2022 年6月14日(火)
     ※最終日6月14日(火)は当会場のみ午後4時に閉場いたします。
会  場:西武池袋本店 6階(中央B7)= アート・ギャラリー
お問合せ:03 (5949) 5348 <直通電話 >
営業時間は午前10時から午後9時。
なお、日曜・祝休日は午前10時から午後8時まで営業いたします。
営業時間変更の際は、西武池袋本店ホームページにてお知らせいたします。
状況を鑑み、掲載企画を中止・延期とする場合がございます。
所 在 地:
〒170-0013 東京都豊島区南池袋1-28-1
U R L:https://www.sogo-seibu.jp/ikebukuro/