出品作品一覧

賞選考

大賞

城野 紗貴

《Fence》

準⼤賞

溝口 絢斗

《AMAGUMO》

優秀賞

艾尼瓦江 阿西木

《少女とぬいぐるみ》

鈴木 初音

《火をふいていわう》

奨励賞

伊東 春香

《空の街》

川端 健太

《tone13》

重政 周平

《組立》

藤森 哲

《tableau2021-s02(Kushan)》

八木 恵子

《春風のストローク》

主催者特別賞

吉田 侑加

《時のおもかげ》

審査員所感

立島 惠(佐藤美術館 学芸部長)

2回目となる本賞は、昨年と比べ端正な作品が目立った反面、積極性という点ではやや物足りない印象を受けた。若い美術家の支援を目的に創設されたこの賞においては完成度も然ることながら、新たな表現に果敢に取り組む姿勢を評価せねばならないだろう。

そんななか大賞の城野紗貴「Fence」は、何気ない風景を多面的に捉えることによる複雑な画面構成に、実存しないイメージを巧みに重ね合わせることで表出した独特な空間表現が新鮮に映った。準大賞の溝口絢斗「AMAGUMO」は、雨雲のイメージなのだろうが、恐らく作家自身の強い情念に依りもたらされた独自の形態への変容に驚かされた。優秀賞の艾尼⽡江阿⻄⽊「少女とぬいぐるみ」は、奇をてらわない画面構成と誠実な筆致に好感が持てた。同じく優秀賞の鈴木初音「火をふいていわう」は、唯一のフレスコ技法による原始壁画を思わせる自由な形態に目を見張った。奨励賞の伊東春香、川端健太、重政周平、藤森哲、八木恵子そして主催者特別賞の吉田侑加の6名の技法表現はそれぞれ異なるが力量、完成度共に先の4名に引けを取らないし、惜しくも賞を逃した10名も実力作家であり、その差はごくごく僅かであったことを最後に付け加えておきたい。

大矢 英雄(洋画家、広島市立大学名誉教授)

私は思うような作品を描くのが今でも難しい。それに対して若い人達の作品の完成度の高さを、今回も嫉妬を些か含んだ醒めた目で見ていたように思う。力が拮抗していたからとも言えるのだが、一推しの作品を決められずかなり悩んだ。消去法的な選考になってしまったかもしれない。

大賞の城野さんの作品は初め全く心動かされなかった。だが仔細に観察すると、異素材を配することで違う時間帯を1枚の平面に表していた。それを味わう鑑賞者の不思議な感覚の体験を評価するべきだと、視野の狭い自らの評価を恥じた。が、絵の具の扱いも含めてもう少し描写の精度を上げて欲しいと思う。
準大賞の溝口さんの作品は初めは油彩と間違えてしまった意味では新しさを感じるものだった。
個人的に魅かれた作品は、鈴木さんと伊東さんのものだった。鈴木さんの作品は今ふうのセンスが漂い、それを支える材質感が強烈だった。が、何処かで見たような類型化の危険も感じてしまう。伊東さんの作品は無難で大人しいものだが、私は画面のグレーの美しさに打たれた。

表現の違いを超えて、若い人達は総じてインターネットやデジタル技術の影響化にあるのだなと改めて感じたのだが、さて絵画の将来は何処に向かうのだろうか。

倉島 重友(日本画家、日本美術院同人、広島市立大学名誉教授)

第2回展を迎えた「絵画の筑波賞」、昨年に比べ画材を広範に試みた感じはしましたが奇抜なだけではという作品もあり、「絵画」という面でもう一歩描き込んでいく完成度が欲しかった感がします。

大賞の城野紗貴さん。前回は花のリアルな表現に抽象性の含まれた作品でしたが、今回の「Fence」は写実に徹した密度のある自然風景です。半開きのFenceをテーマにし、その影を描くことによって時の移りゆく空間を描き上げ、深い作品となりました。
準大賞の溝口絢斗さんの「AMAGUMO」は、岩絵具と色々な画材を駆使して仕事を重ね、表現は抽象的ではあるがテーマのAMAGUMOを深く追求して不思議な美感を漂わせています。
優秀賞の艾尼瓦江阿西木さん、鈴木初音さんもテーマに対する気持ち・仕事が丁寧で、好感が持てました。

「絵画の筑波賞」が益々盛んになることを願い、又若い作家たちがより研鑽を積んで新たな創作に挑んで欲しいと願っています。

玉川 信一(洋画家、二紀会理事、筑波大学名誉教授)

第2回絵画の筑波賞審査会がコロナ禍緊急事態宣言明けの3月20日に開催された。集まった作品全体を見渡して、この一年の制作環境を考えればそれぞれ充実しているともいえるし今一つ強く推せる作品が見当たらないという感想も持った。案の定、最初の投票で審査員5人が強く推す作品は5点ということで意見がわれた。それぞれの候補作品の魅力を話し合う中で、結局は得票順ということに落ち着いたけれど見方によっては少し違った結果になったかもしれない。

作品にその時期の状況を直接的に反映しなければならないわけではないとしても微妙な影を落とすということはあるかもしれない。あえて個人の世界に閉じこもるにしても、結果として表現にはその時代の空気感が映るものでもある。集まった作品それぞれに技法やスタイルの洗練、仕上げの巧緻さは感じるものの今一つ見る者の心に切り込んでくる鮮烈さを求めたかった。各自の今後の活躍に期待したい。

藤田 志朗(日本画家、創画会常務理事、筑波大学名誉教授)

この度、第二回目の「絵画の筑波賞」展の各賞選考にあたらせていただきましたがコロナ禍が続く不安定なこの一年間の中で若手作家育成を目的とした展覧会の企画運営にあたって来られた実行委員会並びに協賛を頂いた各位に感謝申し上げます。今回も東京藝術大学と筑波大学から推薦された20作品を拝見させていただきましたが、並べられている作品全体を観た印象としては油画・洋画・日本画というジャンルに囚われることなく各作家が独自の素材を使った自由な表現を試みている作品が良くも悪くも多く見られたように思いました。

大賞の「Fence」は確かな描写力と青い色彩が美しく、みずみずしさを強く感じました
準大賞の「AMAGUMO」は作者自身の中にある不安感を独自の描法で表現しようとしている様に思え、不思議な魅力を感じました。また、今回は優秀賞、奨励賞に選ばれた作品は色彩的にも画面構成も良くまとまっている作品ではあるが、選ばれなかった作品との力量の差は作品の大きさが限定されているためか、それほど無かったように思いました。今回この展覧会に参加された若い作家全員がこの期を境に益々精力的に制作を継続される事を期待しております。

会期・会場

「絵画の筑波賞」展2021

つくば展

2021年 6月5日(土) 20日(日)
午前 11時 – 午後6時(最終日6月20日は午後3時まで)
会場:スタジオ’S(スタジオエス)
   〒305-0051 茨城県つくば市二の宮 1-23-6 関彰商事(株)つくば本社敷地内
URL:https://sekishostudios.jp/
※状況により開催企画が中止・変更の場合がございます。

池袋展

2021年 6月23日(水) 29日(火)
会場:西武池袋本店 6階(中央B7) = アート・ギャラリー
お問い合わせ:03 (5949) 5348 <直通電話 >
       〒170-0013 東京都豊島区南池袋1-28-1
営業時間は、西武池袋本店ホームページにてご確認ください。
URL:https://www.sogo-seibu.jp/ikebukuro/
※状況により開催企画が中止・変更の場合がございます。